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2016.09.14

「東国武将たちの戦国史」を読了

事務局日記として、備忘録的に記します。


「東国武将たちの戦国史」 (西股総生著 河出書房新社 2015年)


かねてより、応仁の乱より早く関東で勃発し、戦国開幕のさきがけとなった享徳の乱に興味を持ち、少しずつ、勉強をしています。

本書を手に取ったのも

「第一章 長尾景春と太田道灌 --- 戦国への幕を引き破った二人の天才」

を読みたかったからです。


第二章以降は、謙信、信玄、早雲、等について叙述があり、終章は小田原戦役となります。

氏の論考は、通説・真説といわれていたものを、説得力をもって覆してくれることが多く、とても面白い。

それは本書においても同様です。

いくつかピックアップしてみます。

・謙信は、義を重んじ、関東管領という地位から、私欲を捨てて関東の秩序維持に奔走したというイメージが強いが本当か。越後統治の手段として、越山(外征)を繰りかえしたのではないか。

・東国は配下領主が編成した農民軍、上方は信長以来の兵農分離の訓練された専門軍という図式の嘘。すでに武田信虎は直轄の軍隊を雇用していた。

・小田原戦役時の北条軍の防衛戦略は、理にかなっており、勝算皆無ではなかった。箱根決戦構想と言うものがあり、その鍵が山中城。ここが数日持ちこたえる間に、小田原を出撃した主力が箱根山中に展開、豊臣軍先鋒を撃破。箱根突破を阻止すれば戦線は膠着。大兵を擁する豊臣軍は捕球 → 補給に苦しみ戦局は好転するという読みがあった。(豊臣軍の補給事情も、実態はそれほど余裕のあるものでなかったという。)誤算は、山中城が半日で落城したこと。その理由とは?

西股氏の論考は、いままで、何となくもやもやしていた素朴な疑問を、史料を丹念にひもとくことで、スッキリさせてくれることが多いです。

無論、仮説も含まれますが、在野の研究者という立場から、自由に発想できることが大きいのでしょう。

西股氏は、真田丸の軍事面からの考証も担当されているようです。

他に、「城取の軍事学」「戦国の軍隊」(共に学研発行)も興味深い論が満載でした。




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