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2010.06.12

ビル・ジェイムズと卓上野球ゲーム

THE NUMBERS GAME という本があります。

野球の記録に熱中してきた人たちのお話(ノンフィクション)で、冒頭は1858年8月18日に、1人のタバコ商がニューヨークヘラルド紙の野球のボックススコアに見入る場面からです。

本では、かのビル・ジェイムズ氏に1章が割かれています。

そこに、ビル・ジェイムズが本を出そうと決めたきっかけと、それから野球ゲームとの、ちょっとした係わりが記されていますので、ご紹介します。

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その老未亡人は70代、いや、ひょっとしたら80代かもしれない。彼女はイリノイ・アヴェニューに暮らしていた。たいてい午後は外でチューリップの世話をしていて、通りがかった人は、彼女が庭をブラブラしながら、ラジオでカンザスシティー・ロイヤルズの中継を聴いているのを、目にしたはずだ。老未亡人は1分毎に立ち止まっては、鉛筆をつかむと、紙の上に何かを書きつけていた。

ある日、背が高く髭モジャの隣人が、カンザス州ローレンス市の豆の缶詰工場での夜警の仕事にのしのしと向かう途中で、その女性と会話をして、強い衝撃を受けた。スコアをつけてるのよ、と彼女が言ったのだ。記録をつけている。誰もがすることじゃないだろう?

それは1976年の夏のことで、合衆国のあちらこちらで花火が打ち上げられていたが、ビル・ジェイムズは老婦人のチューリップ畑で、原爆が落ちたかのように感じたのだった。

これ以上、どんな証拠が必要なのだ?ジェイムズは常々疑っていたのだ。野球の記録に熱狂し、日常的に記録を書きつけているのは、自分ひとりではないはずだ、と。

(中略)

いつものように、ジェイムズは計算した。ローレンスの人口は5万人。少なくとも50人は自分の考えを受け入れてくれるだろう。彼らは野球記録に熱中している人種だ。たとえば、ベースボール・エンサイクロペディアや、Toppsの野球カード、STRAT-O-MATICなどに。あるいはそれらの複合種だ。この50人から推計すれば、合衆国には20万人の同種族がいるのではないだろうか?

(Alan Schwarz, ”THE NUMBERS GAME : BASEBALL’S LIFELONG FASCINATION WITH STATISTICS”, THOMAS DUNNE BOOKS, 2004, P.111-112)
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こうしてビル・ジェイムズは1977年に最初のBASEBALL ABSTRACTを自費出版しますが、売れたのは70部だったそうです。このNUMBERS GAME という本には、実際にジェームズが載せた3行広告のコピーが収録されていますが、それにはこうあります。(Shwarz 前掲書 P.117)


THE 1977 BASEBALL ABSTRACT
Contains 18 Statistical Categories That You can’t Find Anywhere Else,


日本でジェイムズを紹介する本では、ここまでを訳して紹介していることが多いかと思います。たとえば、

『野球抄1977――知られざる18種類の野球情報』
(データスタジアム編「野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス」、宝島社、2008年、P.17)


でも、広告は、こう続くのです。


And a New TABLE BASEBALL GAME


本には付録として「STRAT-O-MATICのようなシミュレーション」野球ゲームがついていて、サイコロではなく、カードデッキを使うタイプのものだったそうです。見てみたいものです。ビル・ジェイムズが作った野球ゲーム。でも、仮にオークションに出たとしても、とんでもない値段なんでしょうね、きっと。

ところで広告は、ゲームのところだけ、全部大文字なんですよ。

やけに、強調されていますね。

なぜ?

こうすると、本が売れると思ったのでしょうか?

それともジェイムズ自身が、卓上野球好きだったのか。

それにしても、ジェイムズの推計、ローレンスに50人だから全米で20万人、というのは、なんか切実だなあ。

卓上野球ゲームは、どうなのでしょうか?

日本に何人くらい、いらっしゃるのでしょうか。昔、HJ社から熱闘12球団ペナントレースの最盛期の部数を聞いたことありますけど、今じゃ、とてもあんなには無理でしょうね。

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