« ルール Q&Aを整理しました | トップページ | セ・リーグ 最後の10日間 »

2010.04.04

よみがえり猛虎

紙で発行していた旧会誌「エンドラン」の記事を再録します。

2000年後期シーズンの、タイガースがベイスターズに弱かったときの記事です。

記事で話題にしていたサンダースさん、ホントにサルベージされちゃいましたね。

しかしこんな記事書いてたの、もう10年も前のことなんですね・・・・。

若かったんだなあ・・・。

2000年度後期シーズンも終盤。横浜、ヤクルトのマッチレースに巨人もからむ熱戦だが、横浜は今シーズン優勝すれば、なんと3連覇。往年の大味クジラ野球を知るものには信じられない展開だ。この横浜の強さの秘密は、必ずお客さんチームを作っていること。昨シーズンは中日が横浜、巨人あわせて3勝しかあげられず、罵声を浴びたが、今シーズンはタイガースがその栄を担っている。10月3日まで全敗。7試合を戦い10点しかとれない一方で失点は53点、完封負けも2試合ある。いまやコバヤン監督は《横浜大洋銀行阪神支店長》などと陰口をたたかれる始末だ。
この状況に業を煮やした阪神球団が、チーム強化策に蠢動しているとの情報を得た本誌編集部は、阪神担当記者を中心に特別取材を敢行。結果、おどろくべき事実が続々と判明した。

証言1 謎のお遍路さん

フロントに近い筋から、近々、球団スタッフが国内各地へ派遣されるらしいとの連絡をうけた本誌番記者は、球団事務所を張っていた。じっとりと蒸し暑いその夜、白装束に身をやつした一群の男達が事務所裏口から次々と姿を見せた。中に顔見知りの職員をみつけた記者が声をかけようとすると、すさまじい形相でにらみかえされたという。

なにかある。

異常な雰囲気を嗅ぎ取った記者は、そのまま尾行を開始した。
球団スタッフ一行は、神戸港からフェリーに乗船、四国へ向かう。一同の白装束は、どうみてもお遍路さんのそれだ。
「阪神優勝祈願に八八ヶ所巡りでもするのだろうか」
しかし、四国に着いた一行は、通常、お遍路さんが最初に向かうはずの阿波の一番寺、霊山寺にはなぜか向かわない。通常は阿波→土佐→伊予→讃岐と時計の針方向に巡るのだが、向かった先は讃岐の大窪寺であった。
こ、これは。
記者は愕然とした。阪神球団職員一行は、八八ヶ所を逆方向に巡ろうとしている。すなわち、彼らは巡礼の「逆打(さかうち)」を決行しようとしていたのだ。その意味するところはただひとつ。
「死者をよみがえらせようとしている」
この間、TVでやっていた映画「死国」を観たから記者は知っているのだ。八八ヶ所を逆打ちすると死者が甦るのだということを。阪神はいったい誰をよみがえらせようとしているのか?バースか?だが、バースはまだ健在なはずだが…。


証言2 道頓堀にうごめくもの

9月30日午前2時ごろ、東大阪市の会社員・ミスターKさん(35歳・仮名)がほろ酔い気分で道頓堀にかかる橋の上を歩いていた。橋のなかばにさしかかったとき、ミスターKさんはボソボソとしゃべる複数の声を聞いた。

「やはりここじゃない。もっと下流を探した方がいいな」
「もう、やめましょうよう」
「15年も前のものをいまさら…」
「あきらめるな、探すんだ!」

しかし橋の上に人影はみえない。どうやら、声は橋の下、川面から聞こえてくるようだ。その切迫した口調から、ただならぬものを感じ取ったミスターKさんは、橋から身を乗り出して下をのぞきこんだ。暗くてよくは見えなかったが、水面に幾つかの真っ黒い人の頭のようなものが浮かんでいる。街頭の光を反射して時おり輝くのは、どうやら水中マスクのようだ。アクアラングをしょっているようにも見える。警察の捜索?しかしそれなら、こんな時刻に人目をしのぶように作業する必要はないはず。ミスターKさんは、何か見てはいけないものを見てしまったような恐怖感を覚えて、あわててその場を立ち去ろうとした。と、その刹那、強い力がミスターKさんの肩をとらえた。驚いて振りかえると、そこにはスウェットスーツに水中眼鏡を着用した、濡れ鼠のフロッグマンが立っていた。フロッグマンは、口元に人差し指をあてると、ゆっくりと首を左右に振った。しゃべるな、ということのようだ。男の表情は水中マスクに隠されてまったくわからなかったが、そのしぐさには有無を言わせぬ殺気が漂っている。ミスターKさんは、ふるえながらうなずくと、脱兎のごとき勢いでその場を走り去るを得なかったという。しかし、ミスターKさんはそのとき、男のスウェットスーツの右肩に、《咆えたける虎》の記章が縫い付けられているのを見逃さなかった。
翌朝、本誌に電話で以上の話を伝えてくれたミスターKさんは、「あれは阪神タイガースのマークにまちがいありません」と語ってくれた。
丑三どきに密かに道頓堀の川ざらえをする阪神球団職員。その目的を、賢明なる読者のみなさんは、もうおわかりだろう。


証言3 呪われたカーネルサンダース

1985年10月。奇跡の優勝に酔いしれ暴徒と化した阪神ファンが、ケンタッキーフライドチキンのシンボル、カーネルサンダース人形を「バース様に似ている」として道頓堀に投げ込んだ。(神様を川に投げ入れるとはなんたる所業。)以後、阪神が優勝できないのは「カーネルサンダースの呪いである」との説が巷間流布しているのはご承知のとおり。
今回、阪神球団は、その呪いを解くために、川に沈んだカーネルサンダース人形を探し出し、供養しようとしているのにちがいない。
ことの真偽を確かめるべく阪神球団に電話をいれ「カーネルサンダースのサルベージについて取材したい」ともうし入れると、それまで丁寧に対応してくれていた女性職員の声が急に冷たくなった。電話を保留にするのも忘れて、背後の誰かと慌しくやりとりしているのが聞こえてくる。

「どこで嗅ぎつけたんだ」
「さあ、ただ昨夜の作戦のことも知っているようで」
「バカな…。知らんと言え」
「でも、目撃者がいるとか…」
「ちいっ、なんで始末しなかったんだ。外部に漏れたことが監督にわかったらタダではすまんぞ」
「あっ、電話を保留にするのを――」
「馬鹿!」

そこで電話は唐突に切れた。虚しく発信音を繰り返す受話器を握りしめて、担当記者は深いため息をついた。また、なにか「この世のものではない力」に頼ろうとする阪神球団の体質に、脱力してしまったからであろうか。

証言4 球団職員渡米

阪神球団職員が通訳をともなって渡米した模様。行く先はマサチューセッツ州アーカム市。同市にあるミスカトニック大学図書館に、野球に関する文献を探しに行くのが目的だという。しかし、そんな発表を信じるものは誰もいないだろう。来シーズンへ向けて新戦力を獲得しに出かけたのだというのがもっぱらの見方。同市を本拠地とする3Aのモルモンズに属するジョージ・ラブクラフト内野手は強肩強打で鳴らす、メジャーのスカウトも注目する逸材だからである。しかし、スカウトが同行していないのが奇妙といえば奇妙である。そこで思い出されるのが、ミスカトニック大学図書館の蔵書のこと。ここには、世界で数冊しか現存しないといわれる魔道書「音黒の未婚」もとい「ネクロノミコン」を収蔵していることで有名なのだ。ネクロノミコンは謎のアラブ人、アブドル・アルハザードの手になる奇書で、死者蘇生の術などが詳細に記述されているという。
阪神球団は同書を研究し、やっぱり「この世のものでないなにか」を呼び出そうとしているのではないか。バースか?(だからバースは健在だっちゅうに)

コバヤン監督《球界ネクロマンサー》宣言

打ち続く対横浜戦敗北に業を煮やした阪神・コバヤン監督は、球界ネクロマンサーを宣言。モジ監督が見捨てた、いわゆる《魂の抜けたダイス》でプレイして、みごと横浜に執念の白星をあげた。
この日、コバヤン監督は、空々しくも「ダイスを忘れた」などと見え透いた嘘をつき、「モジ監督、《魂のぬけたダイス》貸してください」「いいよ」とあっさりと問題のダイスを入手。これらのダイスを《蘇生》させることで、通常の倍以上の運を味方につけようと目論んだ。横浜を恨んでいるダイスを使えば、パワー炸裂というわけだ。そのため、コバヤン監督はフロントをも動かし、一度は死んだダイスに再び命を吹き込むために、なにやらオカルト的な策も打ったとのこと。おかげで阪神は横浜3連戦に1勝2敗。念願の白星をもぎ取ることに成功し、対戦成績を1勝9敗とした。試合後、コバヤン監督はこのフロント・現場一丸になっての勝利に「球界ネクロマンサーと呼んでほしい」と明言。
金吾中納言監督時代に一度は断ち切られたはずのオカルト路線が、とうとう復活してしまった模様である。

|

« ルール Q&Aを整理しました | トップページ | セ・リーグ 最後の10日間 »

2000 ペナントレース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ルール Q&Aを整理しました | トップページ | セ・リーグ 最後の10日間 »