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2009.12.12

もうひとつの野球ゲーム小説

卓上野球ゲームを愛好する者の多くが、一度は手にする本。それがロバート・クーパーの「ユニヴァーサル野球協会」ですよね。私もご多分にもれず、この本に25年くらい前に出会いました。確か大学生のときに読んだように記憶していたのですが、今回、この記事を書くために久しぶりに引っ張り出して奥付をみたら、1985年8月20日発行となっています(阪神優勝の年、そして御巣鷹山の悲しい出来事があった、あの年です)。ということは、もう社会人になった後に買って読んでいたということで、人間の記憶など実にあてにならないものですね。

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「ユニヴァーサル野球協会」については、いまさら私がここで何かを書くまでもなく、あちらこちらで紹介、言及がなされています。最近も、本ブログと相互リンクさせていただいている、うずランドさんの「野球ゲーム趣味」に簡潔にして要を得た、わかり易い紹介がありました。(うずランドさんの文章は、緻密なのにわかりやすくて良いなあと、いつも羨ましく思っています。)

そこで、私も最近発見した、“もうひとつの野球ゲーム小説”について少し書いてみようと思います。

ご紹介するのは、Soren Narnia著“roll! they cried”,iuniverse,2006(「サイコロを振れ! とみなは叫んだ」・・・・いいのか、タイトルこんな訳で?)です。


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これはもう、正真正銘の野球ゲーム小説です。だって物語は、こんな文章から始まるのです。

「野球が発明されるのとほぼ時を同じくして、ゲームデザイナーたちは野球をシミュレートしようとした。公園の芝生の上に出て野球をやろうという元気のない人たち、空に浮かぶ雲を見るのが好きではない人たちのために。木製の機械仕掛だったり、ビー玉を使ったり、カードであったり・・・いずれにせよ、子供も大人も、こうした単純なゲームで競技するのが好きだった」

主人公は(架空の)メジャーリーグ球団、ケンタッキー・キャノンズの中軸打者、ベン・グリントン。2002年、キャノンズでの6年目を迎えたベンは好調で、打率.272、12本塁打、77打点をあげ、盗塁も10個を決めていました。そしてキャノンズはワールドシリーズへ進出。これがベンの悪夢の始まりでした。このワールドシリーズの最終戦で球史に残る大ボーンヘッドを(2回も!)演じ、チームを敗北に導いてしまったベンは、そのショックから立ち直れずにそのまま引退。(もちろん、地元では袋叩き。)その後3年。精神的に立ち直るきっかけも得られないまま、次々に持ち込まれる怪しげな投資話にひっかかり、メジャー時代に稼いだ金も底を尽きつつあったベンは、ひょんなことから友人の息子の子守をすることになり、そこでAPBAのフットボールゲームと出会う。初めて見る実在の選手カード・ゲームに驚くベンは、恐る恐るきいてみる。

「ひょっとして、これの野球版もあるの?」

翌日、ベンは町のゲームショップへすっ飛んで行く。もちろん、自分の選手カードがはいった2002年版APBAを買うために、である。彼は考えたのだ。この野球ゲームを使って勝利を収めれば、自分は立ち直れるかもしれない、と。

いかがでしょうか?
そう、本書はAPBAの野球ゲームを軸に魂の再生を目指す男の(コミカルな)物語なのです。
新聞の3行広告でAPBA仲間を集ったベンは、さらにWEBサイトで自らAPBAのプライベート・トーナメント・コンベンション開催を告知。開催地へ向け一行は珍道中に旅立つのです。

旅の途中、APBA導師だとかAPBA必勝の達人だとか、まあ、変な人が続々登場します。さらにはスポーツ専門チャンネルへ行って自分たちのトーナメントを中継しないかと持ちかけて断られたり、STRA-O-MATICファンご一行様と一触即発の危機に陥ったり、野球観戦に行き「いったいどうして、本物の野球ってやつは、こうも進行が遅いんだ」と叫んで、座席でAPBAを始めてしまったり・・・・。

そして結末は・・・・さすがに書いてはいけないでしょうから、書きませんけど、「ユニヴァーサル野球協会」とはまた、全く趣の異なる野球ゲーム小説でした。

なんなんだろう、この小説は?

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コメント

今年は相互リンクのお誘いをいただきましてありがとうございました。
卓上野球機構様も定例会や合宿イベントなど、活発に運営を続けておられるようで、同好の士として嬉しくもあり少し羨ましくもあります。

当方は個人的に取り組んでいた「ダイエット本執筆計画(笑)」の難航に、職場でのアレやコレが重なりまして、やや野球ゲーム制作に力を入れられない状況に陥り、そのあたりの焦燥感や苛立ちがブログの方にも出てしまったりして、けっこう見苦しい有様で年末を迎えることになってしまいました。
そんな私の文章に過分なお褒めの言葉をいただいていたというのに、なんというか「やっちまったなぁ」的な後悔の念が今さらながら沸き起こっています。
とりあえず新年から、いろいろと「出直し」を図るつもりではおりますので、また時間がおありの際は私のブログも覗いていただければと思います。

ところで、“roll! they cried”ですが、メチャクチャおもしろそうですね。
恥ずかしながら、私も高校生くらいの時に「野球ゲーム小説」っぽいものを書こうとしたことがあるのですが、なかなかうまく筋を組み立てることができませんでした。
元高校球児のくたびれた会社員が、野球ゲームを通じて自分の再生を目指す……といった構成を考えていましたが、どうも「戦う理由」みたいなものをうまく作れなかったんですよ。

ともあれ、卓上野球機構様からはよい刺激をたくさんいただきました。来年もよろしくお願いいたします。
それでは、よいお年を!

投稿: うずランド | 2009.12.29 11:49 午前

年末のごあいさつ、わざわざ恐縮です。
ブログはいつも拝見しております。

ここ一月ほどは、お仕事などいろいろご苦労がおありだったようで、お察しいたします。ただ、そうおっしゃいながらも、うずランドさんの文章には、どこかでご自身をしっかりと客観視されているところがあって、そこに芯の強さのようなものを感じておりました。

私も、のほほんと野球ゲームをやっているように見えるかもしれませんけど、いちおう仕事をしておりますし、そっちはそっちで、まあ、何かとあります。ただ、そういう中でも、卓上野球をはじめとするゲームがあることで、ずいぶん救われてきたようにも思います。
そして、最近では、人生の中でのゲームのウェイトが自分の中で少しずつ高まってきているような気がするのです。

なんにしても、ここはひとつ、「それはそれ、これはこれ」(『逆境ナイン』より)の精神で、お互いに頑張りましょう。

機会があれば、卓上野球を一緒にプレイできると良いですね!

それでは、良いお年をお迎えください。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 事務局長 | 2009.12.30 02:40 午後

最近の作品は読めていませんが、島本和彦の漫画は私も大好きです。
以前、「アストロ球団」がTVドラマ化された時、「逆境ナイン」も単発の映画より連続ドラマでやってほしかったと思えてなりませんでした。

それはさておき、励ましのお言葉をいただきましてありがとうございます。
自分で自分を好きになれなかったり、弱さを自覚させられる面も何かとありますが、
「心に棚を作れ」(『炎の転校生』より)の精神で頑張ってみようという気になれました。
来年がお互いにとってよい年になりますように……

投稿: うずランド from 野球ゲーム趣味 | 2009.12.30 05:57 午後

お久しぶりです。
“roll! they cried”への興味が尽きず、とうとうアマゾンで注文してしまいました。
正直、洋書を読めるほどの英文読解力はありませんが、翻訳ソフトなども充実している昨今ですので、どうにかして読んでやろうと目論んでいます。
既に二月も末に近づいておりますが、今年もよろしくお願いします。

投稿: うずランド from 野球ゲーム趣味 | 2010.02.20 10:55 午後

うずランド様

こんばんは。こちらこそご無沙汰しております。

“roll! they cried”にチャレンジされるのですね。
先に紹介するのを忘れてたんですが、この小説には巻末になんと「野球ゲーム」が付録でついています。(文章とサイコロで遊ぶものです。)

私も1月から殺人的な忙しさで、連日深夜、土曜はほぼ出勤という状況が続きまた。今日はようやく一段落です。しかしまだまだ先は見えずで、精神的にも結構追い込まれたりして、このブログも更新が停滞しがちですけど、続けていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 事務局長 | 2010.02.22 08:01 午後

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