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2009.10.27

荒野のダイヤモンド -APBAの起源について-

APBA ベースボール の起源は、同社のホームページによれば、1931年に遡るといいます。
ペンシルベニア州ランカスターの高校生、ディック・シーツは、自身が作った野球ゲームで友達と遊んでいました。彼らは、American Professional Baseball Association を名乗り、これが今日まで続く、APBA INTERNATIONAL 社のルーツだそうです。APBA 社は、ゲームを作り出したシーツが創業したものです。

以上のような同社HPの説明から、私はAPBA BASEBALL は、シーツが一から開発したものだと、ずっと思っていたわけです。ところが、どうもシーツのゲームにも、ルーツがあるようなのです。

これを知ったのは、最近購入した"DIAMONDS IN THE ROUGH" (Joel Zoss & John S Bowman, Macmillan Publishing Company, NY, 1989) という書籍からです。

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本書を知ったのは、Jim Albert の "Teaching Statistics Using Baseball" という本の参考書籍の項に「野球ゲームの歴史について簡単にまとめた記述あり」と紹介されていたからです。(ちなみに、この Albert の著作は、野球のデータを使って統計を教えるための教科書ということで、後日、改めて紹介できればと思います。)

DIAMONDS IN THE ROUGH (仮に「荒野のダイヤモンド」とでも命名しておきます)は、野球それ自体についてではなく、野球を題材とした文学や音楽など、つまり野球から派生したさまざまな文化について記述した本で、確かに、野球ゲームについての記述がありました。

それによれば、やはり、APBA というのは、商品化された1951年当時、かなり斬新なものだったようです。しかし、このゲームにもルーツがありました。

------以下、「荒野のダイヤモンド」 より----------------------------

1920年代に、ウィスコンシン州グリーンベイのクリフォード・A・ヴァン・ビークなる人が、まったく新しいタイプの野球ゲームを開発しました。1923年に特許を申請し、同25年に認められました。ヴァン・ビークはこのゲームに「ナショナル・パスタイム」と名づけ、1931年に商品化して売り出しましたが、値段が高い、ルールが複雑、加えて折からの大恐慌のあおりも受け、さして注目もされぬまま、消えてしまったようです。

このゲームは、1930年の選手カードとプレイ用の図表、2個のダイスから成り、各選手カードには実際の成績を反映したゲーム用の数値が記載されていました。


このゲームを気に入ったシーツは、あえなく1年で絶版になったゲームの選手カードを自分で作り、夢中になって仲間と遊んだのです。(「わかります」 by 事務局長)

カードを自主制作する過程で、シーツはいろいろな改良を加えました。チャートにはリアリティを増すために様々な
要素を加えました。たとえば、無死・一死と二死で結果を変えるとかです。でも、最大の改良は、投手の能力をゲームに追加したことだそうです。

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で、戦争が終わり帰国したシーツは、1951年にこのゲームを商品として世に出し、大きな成功を収めました。シーツは1990年代に亡くなっていますが、多くのファンが未だにAPBAの虜になっています。すばらしい、偉業ですね。

もっともシーツも、最初から成功できたわけではなく、商品化した当初3年間は、ゲームでは食えず、実家に居候して、別の仕事の傍ら、ゲームを売っていたようです。

千里の道も一歩から

ローマは一日にしてならず

ですね。

※ところで、紹介した「荒野のダイヤモンド」は注文しようとしたら既に絶版でしたが、ネットで探したら、ちゃんと扱っている米国のネット古書店があって、注文したらわずか2週間で手元に届きました。信じられない便利さであります。

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世界の卓上野球」カテゴリの記事

コメント

すると、その「ナショナル・パスタイム」が、ダイスを用いた野球シミュレーションゲームの開祖ということになるのでしょうか。
私は「熱闘12球団ペナントレース」の説明書に名前の出ている、スコット・L・シャベル氏という人がAPBAの開発者だと思っていました。

とても興味深い話題ですが、こういった洋書からの情報は私の独力ではなかなか知り得ないところですので、また何かネタがあれば紹介していただきたいです。
あと、「荒野のダイヤモンド」という訳し方にはセンスの良さを感じます。

投稿: うずランド from 野球ゲーム趣味 | 2009.10.29 11:52 午後

コメントありがとうございます。
こういった記事には、機構のメンバーはあまりコメントつけてくれないので(笑)うれしいです。

「荒野のダイヤモンド」を読む限り、ナショナル・パスタイムが実際の選手成績をパラメータ化して取り込んだゲームの始まり、のように書いてあります。

ただ、広義の卓上野球(野球盤のようなものも含む、という意味です)は、米国では19世紀から存在します。

記録に残る最古の卓上野球は、ウィリアム・バクリーの「ベース・ボール・テーブル」(1867年)とフランシス・C・セブリングの考案した「パーラー・ベースボール」(1868年)で、いずれも機械的にボールを投げたり打ったりする、いわば今日の野球盤みたいなものだったようです。("Baseball Games:Home Versions of the National Pastime 1860s-1960s", Mark Cooper & Douglas Congdon-Martin, Shiffer Publishing LTD. 1995 による)

ですから、調べれば「ナショナル・パスタイム」以外にも出てくるかもしれませんので、断定はできませんが・・・。

なんにしても、明治維新のころにはもう米国に野球盤があったわけで、ゲームについても野球同様、歴史の厚みを感じますね。

私もこの週末はデータ算出にいそしみます。うずランド様に習い、私も頑張ります。

※前掲のゲームの呼称で「ベース・ボール・テーブル」(Base Ball Table)ですが、"ベース"と"ボール"を区切ってあるのは、昔は"Baseball"は単語ではなく、"Base"と"Ball"を区切って標記したからです。古いゲームの写真を見ると、確かにパッケージの標記は"Base Ball"と書いてあります。

投稿: 事務局長 | 2009.10.31 11:57 午前

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